巻頭言
医師と障害者治療態度
浅山 滉
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
pp.479
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104746
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先日,リハビリテーション専門医制度の発足による第1回の専門医試験が行われた.私事に渡って恐縮であるが,私も20年近く若返った気持で試験に取り組んだ.結果は不満足の至りであった事は致し方ないが,口答試問で「リハにおける全身調整とは」との問に,不意を突かれた感じで,一瞬,答えに窮してしまった.リハビリ関係の用語には抽象的ないい廻しが多いが,この問は,心身に障害を有する者に残されている多面的な能力を総合的に引き出して,少しでもそれを高める努力をすることをさす.
しかし,考えてみれば,この事は我々医師が患者に接する態度の中に基本的に備っているはずの理念であり,何もリハビリ専門医だけの診療態度ではない.我々は意識的にそれを念頭において診療しなければなるまい.日野原重明先生は最近の内科教科書の中に,内科医の心構えについて言及しておられ,その中にも「急性・慢性疾患を問わず,すべての患者に良いケアを与えるように,実際的立場からADL指導を含めた幅広い医療の実践を……」という,正にりハ医に向けて書かれたのではないかと思われる箇所があり,大いに共鳴した次第であった.
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