特集 近視の進行をコントロールする
6.屋外環境とのかかわり
鳥居 秀成
1
,
栗原 俊英
1
,
坪田 一男
1
1慶應義塾大学医学部眼科学教室
キーワード:
近視
,
屋外
,
バイオレットライト
,
myopia
,
outdoor
,
violet light
Keyword:
近視
,
屋外
,
バイオレットライト
,
myopia
,
outdoor
,
violet light
pp.897-903
発行日 2017年9月5日
Published Date 2017/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000113
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現在近視の人口が世界的に急増している。しかしこの世界的な近視人口の急増は約60 年前からの変化であり,その原因として遺伝因子よりも環境因子の変化が主因であると考えられている。近視と関連する環境因子のうち,これまでに屋外活動が近視進行を抑制することが複数の疫学研究や動物実験,介入試験から指摘されてきており,近年近視進行抑制に屋外活動が注目されている。その屋外活動を構成する因子には,運動・遠方視・ビタミンD・光環境などの因子が考えられており,そのうち何が効いているのか,また,そのメカニズムはわかっていなかった。しかし近年,屋外環境のうち特に光環境に注目が集まっており,光の照度や波長と近視に関する報告が増えてきている。我々も光の波長のうち,屋外環境に豊富にある波長360〜400 nm のバイオレットライトに着目して研究を行い,基礎・臨床の両面からバイオレットライトが近視進行抑制に重要な働きをもつことを報告した。このように屋外環境と近視は密接な関係があり,近視進行抑制の一手段として特に子供のうちは積極的に屋外活動を奨励していくことが重要であると思われる。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.