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特集 コミュニケーション介助手段
聴覚障害者のコミュニケーション介助手段
Assistant Method of Communication for Hearing Disorders.
山下 真司
1
Shinji Yamashita
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター,学院
1College, National Rehabilitation Center for the Disabled.
キーワード:
補聴器
,
読唇の補助
Keyword:
補聴器
,
読唇の補助
pp.677-681
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104603
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はじめに
種々の原因による種々の程度の聴力低下(失聴)は,生活の諸側面に対するさまざまな支障をもたらす.中でも音声言語を媒介とするコミュニケーションに関しては重大なハンディキャップが生じる.さらに失聴の時期が先天的もしくは言語獲得期以前の場合は,聴覚を通し学習していく言語という高度な記号体系を操作する能力(言語能力)までも重大な障害をこうむることが少なくない.言語能力の発達こそコミュニケーションを支え,人間らしい生活を営む上で不可欠なものである.そのため後述する種々のコミュニケーション手段もこの言語能力の発達を促すことを究極の目的としていることはいうまでもない.しかしながら本稿では一旦正常な言語能力を獲得した後に失聴した,いわゆる成人の中途失聴者に対するコミュニケーションの介助手段について論じるにとどめ,言語能力との関連については言及しない.
中途失聴者は,家族,近隣者,職場のなかにあって通常たった1人の聴覚障害者としてコミュニケーションの困難に人知れず苦しんでいることが多い.すなわち,人と話すことが減少し,用件のみの一方的伝達の度合が増し,楽しみとしての会話はほとんどされなくなる.その結果として職場や地域生活において,当然求められるべき役割の遂行に支障をきたすことも多い.
そこで本稿では中途失聴者のコミュニケーション上の支障をとりのぞくために用いられている.介助手段について紹介し,あわせて問題点の指摘を行いたい.
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