巻頭言
国際障害者年に思うこと
立野 勝彦
1
1金沢大学医療技術短期大学部
pp.257
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104516
- 有料閲覧
- 文献概要
本年は国際障害者年で,テレビ,新聞などのマスコミには障害者についてのテーマが多く取りあげられており,なかには非常に的を射たものもある.ところが私には,掛け声ばかりに聞こえてくるものが多く,この年にこそ身障者もわれわれの一員であるということを世間一般の人人が認識して欲しいことを願っている.
さて,私が最近,町角で見た考えざるを得なかった光景がある.ある小学校のスキーの実習であろうか,一列に並んでスキーを持った小学生が引率され,交差点を渡っておった.一番しんがりに母親がソリに乗せた身障者であろう我が子を引っばってついてきておったが,引率の先生はその子が渡り終るのを待たず,さっさっと行ってしまったのである.母親とその子は,信号を渡りきれず,取り残され,反対の道を追うように駆けていくのを見た.その先生は,年配のいつも指導的な役割を持っているように見えた.こうしたことでは,教え子に身をもって社会の一員であることを認識せよといっても土台無理な話しである.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.