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講座 リハビリテーション医のためのリウマチ・膠原病入門(2)
慢性関節リウマチ―1:病因論
Rheumatism and Collagen Disease. 2: Etiology of Rheumatoid Arthritis. (1)
東 威
1
Takeshi Azuma
1
1聖マリアンナ医科大学東横病院内科
1Department of Internal Medicine, Toyoko Hospital, St. Marianna University School of Medicine.
pp.147-151
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104490
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緒言
慢性関節リウマチ(RA)を診療していると,比較的経過のよいもの,非常に急激に進行するもの,関節よりも関節外症状の強いものなど,いろいろな型のものに遭遇する.これらが皆同じ病因でおこるのか,それとも,RAといっている疾患は異なった病因でおこるいくつかの疾患の集りであるのか,今のところ不明である.
RAの病因については,感染,遺伝,ホルモン,免疫など,いろいろな説が提唱されてきたが,どれも単一でRAの病因を解明することには成功していない.現在のところ,いくつかの要因が重なって自己免疫が起こり,その結果RA炎症が慢性に経過するのであろうという考えが有力である.そしてどの要因が強く働いているかによって,臨床的に異なった多くの型が認められるのではなかろうかと推定される.
一般にリウマチ性疾患と感染症は,臨床的にも検査データ上も似通った点が多いが,50年以上にもわたる熱心な細菌学的検索にもかかわらず起因菌は同定されていない.
しかし,感染をくり返し起こす無ガンマグロブリン血症ではRAが高率に発症すること,風疹などのウイルス感染後にRAによく似た多発性関節炎を発症すること,動物の感染性関節炎の中にはRAによく似ているものがあることなど,消長はあるにせよ感染説は常に根強く残っている.そしてこれまでの経過からは,感染が関連しているとすると,培養が困難なウィルス,特にslow virusのような非常に長い経過をたどるウイルス感染の可能性が1つと,何らかの感染が原因であるとしても,その後の進展には起因菌は直接は関与せず,RAが完成した時点ではもはや体内に起因菌は証明されないという可能性の2つが考えられる.
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