巻頭言
周産期脳障害と発達
穐山 富太郎
1
1長崎県立整肢療育園
pp.419
発行日 1980年6月10日
Published Date 1980/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104330
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脳性発達障害児(運動および知的発達障害児)に対する早期ハビリテーションの重要性は,関係者の間で,ようやく認識されるところとなったが,一貫したハビリテーション・システムの確立までにはまだ長い道のりを歩まねばならない.ここでは主として周産期脳障害と関連した発達障害児の予防,発達検診およびハビリテーションにふれる.
私たちは脳性発達障害児と周産期障害との関連性について調査したことがあるが,低酸素血症,低血糖症,高ビリルビン血症および敗血症などのいずれの因子が関与するとしても,ある程度以上の強さと持続時間があってはじめて脳性発達障害の発生をみている.仮死産を例にとると,高度な低酸素血症が10数分以上持続したもので軽度の脳性麻痺におわっており,サルの実験でも,出生直後頭部にうすいゴム袋をかぶせ15分間肺呼吸を遮断して,両麻痺型脳性麻痺が発生している.周到な周産期アプローチがあれば,これらに基づく脳障害の発生を大幅に抑えうるはずである.このためには各地方に周産期センターの設立が望まれる.周産期センターは,さらに,胎内性発達障害,先天性代謝障害,ビタミンK欠乏による頭蓋内出血の予防などにも対処できる用意が必要である.
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