Japanese
English
特集 失調症
失調症の理学療法
Physical Therapy of Ataxia.
間嶋 満
1
,
前田 哲男
1
Mitsuru Majima
1
,
Tetsuo Maeda
1
1東大病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
小脳性運動失調
,
理学療法
Keyword:
小脳性運動失調
,
理学療法
pp.107-113
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104270
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はじめに
運動失調ataxiaの定義に関しては,これが広義に用いられる場合と,狭義に用いられる場合とがある.前者においては,運動失調は広く協調性の運動不全と定義されるが,後者においては,深部知覚障害による協調運動障害のみが運動失調と称され,小脳系の障害および迷路系の障害による運動障害は各々,協調運動不全incoordination,平衡障害として区別される1).今回我々に与えられたテーマは「失調症の理学療法」であるが,我々はこの「失調症」を「小脳系の障害による運動障害」,すなわち「協調運動不全」に限定し,それに対する理学療法について述べる.
これまで小脳性運動失調の理学療法について述べた文献には後に触れるものの他に,嶋田2),駒沢3,4),Morgan5)らによるものなどがあるが,本稿においては,まず今日よく用いられている小脳性運動失調に対する理学療法について,その概要を述べ,次いでこれらの1つである神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation,PNF)が,近年姿勢・運動制御の異常としてとらえられている小脳性運動失調の治療法として,いかなる意義を持ちうるかについて検討を加える.最後に,小脳性運動失調による主要な障害の1つである歩行障害に対して,我々が最近試行している運動療法を紹介する.
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