今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
column 臓器抽出のコツ
肝(死角をなくすためには)
森 秀明
1
1杏林大学医学部第3内科
pp.215
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101011
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肝臓は腹部領域のなかで最も大きな臓器であり,モニター上で一度に全体を描出することはできない.このため心窩部~右側腹部縦走査,心窩部横走査,右肋骨弓下走査,右肋間走査を行い,肝臓をいくつかのブロックに分けて観察する必要がある.特に横隔膜直下の右葉,右葉下縁,左葉外側区域の辺縁は超音波検査上死角になりやすい部位であり,検査を行ううえで注意する必要がある(図1).また,被検者を仰臥位だけでなく左側臥位にして観察することや,観察しやすいように被検者に呼吸の調節をしていただくことが,見落としをなくすために大切である.呼吸は必ずしも深吸気の状態が見やすいとは限らないため,描出したい部位をモニター画面で見ながら被検者に自由に呼吸をさせ,呼気と吸気のどちらの状態が観察しやすいかを確認する.右肋間走査ではセクタ型探触子を用いると肺のガスの影響を軽減することができ,コンベックス型探触子と比べてより広い範囲を観察することができる.
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