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講座
筋・神経系の電気診断(10)―H波および回復曲線
Electrodiagnosis of Peripheral Nerve and Muscular Involvement (10). H-reflex and Recovery Curve.
井奥 匡彦
1
Masahiko Ioku
1
1近畿大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kinki University Medical School.
キーワード:
筋電図
,
H波
Keyword:
筋電図
,
H波
pp.741-746
発行日 1978年10月10日
Published Date 1978/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104053
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はじめに
運動麻痺,不随意運動,筋緊張異常などを示す脊髄や上位中枢の疾患,損傷などの病態生理を研究するに当って,一つの方法として筋電図の検査が用いられるが,末梢神経に矩形波刺激を与え,脊髄の単シナップス経路を経て出てくる応答電位すなわちH波(Hoffmannの記載によるものでH-反射ともいわれる)1)を分析考察する方法が,上位中枢の病態を検討するうえに有力なものとしてしばしば用いられている.この方法は脊髄単シナップス反射の抑制や促進についてしらべたもので,上位中枢すなわち運動領皮質,大脳基底核,小脳や前庭系,その他迷路などの間で営まれている運動統合の様相をうかがい知る方法であるから,その資料がたとえ診断確定のものにならなくても,有力な指針になるであろう.その患者の反射機能を検討したり,筋トーヌスを考察することが直ちに錐体路の機能障害,脳幹の機能障害,小脳の機能障害,その他の平衡機能などを探知することに直結するものであるから,非常に有意義な検査法であるということができるであろう.
H波については,Hoffmann(1922)1)によって記載されたものであり,ついでMagladeryおよびMcDougal2,3)によってこのH波を用いての上位中枢障害の検査法が考案せられたのである.
本稿では,誘発筋電図記録(H波の導出と記録)の手技について解説し,ついでMagladeryおよびMcDougalの考案したH波の回復曲線について解説し,私どもの研究室で得られた臨床資料を掲げて説明を試みようと思う.
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