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はじめに
第二次世界大戦が終わりを告げるとともに,electronic apparatusの改良ならびに利用性が増し,ことに筋電図が医学の分野に導入されるに及んで,ヒトの動きを対象とする動作学的研究の進展に,盛んに駆使されるようになってきた.すなわち,外国ではInman(1949)ら,本邦では近藤(1950),小片(1951)らの筋電図による先駆的研究が,動作学的研究に一大転機をもたらすこととなった.
かくして,筋収縮時の活動電位の消長を直接記録することによって,動作時の筋活動が,ありのままに捉えられるようになった.
従来,身体の諸動作に関与する筋の働きは,個々の筋の解剖学的形態と関節の運動軸との関係から推論されていた.しかるに動作学的研究の導入により,ヒトの動作解析が運動器械として,機能解剖学的な立場から漸次是正されるようになり,これに基づいた身体の動きが体系化されてきている.このような体系に,数理的思考や力学的技法を加えた動作学的研究に対しては,とくにbiomechanicsもしくはbody dynamicsという表現が用いられているものの,結局は動作学本来の研究にほかならない.
ヒトの動きを分析する場合に,動きの変化をみながら,それに関与する力を知ることが可能である.一方,物理学的に仕事を行わなくとも,ヒトの筋は活動を行っていることも事実である.換言すれば,一つの関節運動に拮抗的に作用する筋群に,その関節を固定するという動きが,ヒトの場合にみられる.そういうことから,ヒトの動作の分析には,静的に働く筋群の考察が必要となってくるが,かような検索手段としては,筋電図が最適なものであろう.これに加えて,kinematicもしくはkineticsの,いずれかの面から動作究明が必要であろう.以下,規格の統一された装置がないことから,主に私達が使用しているものを紹介しながら,総論的な面について述べたい.
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