- 有料閲覧
- 文献概要
1.関節軟骨
関節軟膏は硝子軟骨であるが,その生化学的組成は年齢によってかなりの変化がみられる.乾燥重量でみると,成人ではコラーゲン70%,グリコサミノグリカン(ムコ多糖)15%,その他15%であるのに対して,胎児ではコラーゲン40%,グリコサミノグリカン40%,その他20%とかなりの差がみられる.また幼若時にはコンドロイチン4硫酸はコンドロイチン6硫酸よりはるかに多いが老齢になるとコンドロイチン4硫酸の方が6硫酸より多くなる.ケラト硫酸も含まれているがこの変化(加齢及び病的状態に対して)には定説がない.蛋白質に多糖がついたGlycoproteinの一種のProteoglaycanがコラーゲンとは別に軟骨中には存在する.分子量は100万位であり,蛋白質に多量のグリコサミノグリカンがついていて,それが更にヒアルロン酸にいくつかついているという複雑な構造である.グリコサミノグリカンは軟骨中ではこのようなプロテオグリカンとして主として存在している.病態との関係の詳細が期待される.
コラーゲンは人体中でⅠ型よりⅣ型まで判っており,Ⅰ型は皮膚,腱,骨にあり,Ⅲ型は皮膚にあるが,Ⅱ型は硝子様軟骨にのみ存在する.Ⅳ型は基底膜中にある.コラーゲンを作り出す細胞は遺伝子としてはこの4型のコラーゲンを作り出す能力を持っている可能性が示唆されるようになって来た.関節軟骨では正常ではⅡ型コラーゲンであるのが,慢性関節リウマチや変形性関節症で組織学的には変りなく硝子軟骨であるのにⅠ型コラーゲンが混在していることが林等によって示された.このような蛋白合成系の変化がどのように軟骨でコントロールされているかの解明は病的軟骨を正常軟骨にもどす助けとなるであろう.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.