特集 授産施設と福祉工場
福祉工場の現場から
都立民営方式の問題点
調 一興
1
1社会福祉法人東京コロニー
pp.966-968
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103677
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
東京都葛飾福祉工場(開設昭和47年6月),東京都大田福祉工場(開設昭和50年6月)の2工場を,東京都から委託をうけた,というかたちで当法人が経営しております.葛飾福祉工場はプラスチック成形加工,大田福祉工場は印刷を職種とし,それぞれ身障者50名を含む約80名の従業員が働いております.
両工場とも,その原因を異にはしておりますが,経営はきわめてきびしく,これを安定させるには,多様な工夫や努力と,なお相当の期間を要するものと考えております.
福祉工場は,一般的には保護雇用の場といわれ,労働サイドからは,一般企業に雇用されるまでの中間的な施設といった誤解もあるようですが,実態は保護的雇用でも,保護雇用でもありません.労働法の全面適用をうけている完全な雇用であり,従来から考えられている保護雇用とは異なっております.わが国で使われている保護雇用という言葉のあいまいさを,この際,再吟味しておく必要があると私は思います.建設のための初期投資や福祉的サービスに対する一定額の運営費の補助は,障害者を多数雇用するための条件の設定と確保のためのものと解すべきであると思います.
このような性格の事業体を,都立一民営委託というかたちで運営しているわけですが,むずかしい問題も生じております.そうした点を含めて,両工場のあからさまな現状と問題点を述べることにします.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.