Japanese
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講座
リハビリテーション診断学(9)―脳性麻痺の診察法(問診から視診まで)
How to Catch the Whole Situation of A Cerebral Palsied Child from the History and the Inspection.
江口 壽榮夫
1
Sueo Eguchi
1
1高知県立子鹿園
1Kōchi Kenritsu Kojikaen.
キーワード:
小児科
,
早期診断
,
分娩周辺期
,
姿勢と動作
Keyword:
小児科
,
早期診断
,
分娩周辺期
,
姿勢と動作
pp.751-757
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103633
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はじめに
15~20年前のカルテで脳性麻痺(以下CPと略す)の診断がついているものを見ると,「首がまだ坐らない」「歩かない」「跛行,鋏み足がある」「転び易い」「手がぎこちない」「言葉が言えない」といった主訴をもって受診している者が大多数であり,年齢は3~4歳以上が多い.なかには1歳前後でCPの診断がついているものも散見せられるが,「筋強剛が強い」「腱反射亢進」「鋏み足肢位」「痙攣が多い」などの記載があり,その後の経過が分っている者は,中等度,重度,あるいは重症といわれるCPになっているのが多いようである.患者の受診のきっかけが専門家のレベルでなく,一般社会的,通俗的な機能障害の概念から,親や近所の人の判断で訪れるケースが多かったのは,その頃では当然であったであろう,これを肢体不自由児施設の側から考えると,「CPは,主として分娩周辺期,分娩時における諸種の原因により惹起される脳の障害に続発した中枢性の運動機能障害を主徴とする疾患である1)」ということで,整形外科的な立場から,健常児と異なる肢体不自由がはっきりするまで,CPとして治療せず,また,その治療が整形外科的治療が主流をなしていたからであると思われる.しかし,問診において母体の妊娠中の異常,出産時の状況,新生児期の状態といったものとCPとの関連についてはすでに十分知られていて,それらのカルテへの記載は一応よくとられている.ただ,(超)早期訓練の有用性とそのための早期発見の概念が,その頃の日本ではほとんど持たれていなかったというのが実状であったといってよい.
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