特集 聴覚障害者のリハビリテーション
手話法と口話法の歴史
堀口 申作
1
1国立聴力言語障害センター
pp.737-738
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103627
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聾者のcommunicationの手段として,手話と口話がある.今日では聾学校などでは主として口話法が行われ,手話は便宜的に行われているという傾向がある.手話は口話法に比べてこれを心得ている聾者には便利であり,日常の用を便ずるために用いられる,必ずしも細かい思想を十分に表現するには適していないが,一般には比較的多く用いられ,聾者と健聴者との間の通訳として今日建聴者のvolunteerによって多く学ばれている.
手話や口話など聾者の通信手段がいつ頃から行われ始めたかというと,その始めはほぼルネッサンスの頃である.伊太利人Jerome Cardan(1501-1576),スペイン人Pedro Ponce de Leon(1520-1584)などは最初に聾教育を始めた人であるが,その頃は貴族の聾子女に対する個人教授のようなものであったらしいが,とにかく,それ以前は聾唖は神の思召で言葉をもたないのだと考えられていたのであるからたいした進歩であった.
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