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研究と報告
乳幼児発達検査の標準化に関する研究(1)―24ヵ月までの標準化
The Standardization of the Denver Developmental Screening Test in Tokyo (1): From 2 Weeks to 24 Months of Age.
上田 礼子
1
,
古屋 真由紀
1
,
前田 和子
1
,
平山 宗宏
1
,
久保 まゆみ
,
小嶋 謙四郎
2
Reiko Ueda
1
,
Mayuki Furuya
1
,
Kazuko Maeda
1
,
Munehiro Hirayama
1
,
Mayumi kubo
,
Kenjiro Kojima
2
1東大医学部保健学科母子保健
2早稲田大学文学部
1Department of Maternal and Child Health, School of Health Sciences Faculty of Medicine, University of Tokyo.
2The Faculty of Literature, Waseda University.
pp.641-646
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103606
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はじめに
健康な子どもの中から発達遅滞や歪のある子どもをスクリーニングする仕事は,疾病の早期発見・治療教育にたずさわる者にとって極めて重要である.著者らは乳幼児健康診査や健康相談における第一次スクリーニングの手段として,保育者を対象としたアンケートを使用し,子どもを対象とした直接法による発達検査も実施して,それらの有効性と限界について検討してきている1~3).アンケートは大勢の対象者に短時間に実施できることで簡易性・敏速性という点からスクリーニングの条件を満たしている4)といえるが,保育者の意識していない遅滞や歪は発見されないので,有効性は必ずしも高いとはいえない限界を一般的にもっている.一方,現存の発達テストは被験児一人の検査に要する時間が長く(月齢により異なるが,20分~40分),大勢の子どもを短時間に検査することは不可能である.
Denver Developmental Screening Test(DDST)は,対象とする個々の子どもの発達が正常範囲にあるかどうかを確かめるために作製されたスクリーニング用発達検査である.検査用具が簡単なこと,検査方法が容易であり,検査所用時間も短いことが特徴としてあげられるが,さらに,①Denver市に住む子ども達をサンプルに標準化していること,②0歳から6歳半まで就学前の年齢範囲全体を網羅していること,③特定の行動が獲得される正常な月齢期間を明確に示していることなどがある5~7).
著者らはデンバー市の予ども達の漂準に基づいて東京都の子ども達をスクリーニングすることの是非を検討する目的で発達検査の漂準化を実施した.
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