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特集 現代の子供—心身の発達とその病理—東京都精神医学総合研究所 第13回シンボジウムから
乳幼児期の心身発育—母子保健の観点から
Growth and Development in Childhood: In respect of maternal and child health
平山 宗宏
1
Munehiro Hirayama
1
1東京大学医学部母子保健学
1Department of Maternal and Child Health, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.135-142
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204099
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I.はじめに
現代の子供,とくに乳幼児期の心身発達を母子保健の立場から述べるようにとのテーマをいただいた。あとの筆者の方々の論旨とどのようにつながれるか心配だが,前座の役割として,現在われわれが当面している問題点やトピックスのおおよそを紹介させていただく。
まず副題につけられた母子保健の概念についてふれておきたい。母子保健学あるいは母子保健とは何かといわれれば,母子の健康を維持・増進するための学問分野あるいは実践活動ということになろう。また母子保健の主要な基盤になっている臨床医学の分野では,母性は産婦人科学,小児は小児科学と分化しているため,母性保健と小児保健とに分けられることも多いが,近年母子相互作用などの語が多用されるように,母と子を密接不可分なものとして論じる必要性も高い。一方,母性の定義として世界保健機構WHOでは,将来母親になる女性,現在母親である女性および過去に母親であった女性を総称するとしているし,小児とは愛情の成立した細胞期から胎芽・胎児期,さらに出生後は発育している全期間をさすので,人生のかなりの部分をカバーすることになってしまう。
また健康という場合は当然心とからだの両面,さらには環境としての社会までを含めることになる(WHOの定義)ので,母子保健を支える学問分野は医学をはじめとする自然科学から人文科学にまで広範にわたる。このため母子保健の担当者は広い分野の知識や活動の中から,母子の健康に関わるものを拾い出し利用してゆくマネージャー的役割を果す必要がある。母子保健はこのように幅広いものではあるが,以下に子供の心身発達に関わる事項を述べよう。
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