特集 脳性麻痺の治療とその限界
脳性麻痺に対する肢体不自由児施設の役割
浜田 青志
1
1神奈川県立ゆうかり園
pp.18
発行日 1976年1月10日
Published Date 1976/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103458
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はじめに
Rehabilitationの目的は障害者を地域社会の中にできるだけ自然の姿で包みこむように皆で努力することであり,そのことこそ障害者自身の基本的願望であろう.
そのためにはまず障害の軽減が計られなければならないが,同時に障害者自身の持つ種々の問題の解決と,地域社会への啓蒙と理解が必要とされる.このことは重度であると称して障害者の願望を無視し,安易に収容保護という手段をとられないためにも重要といえる.
中途障害者の多くは自ら過去に社会経験を有し,そのために自己の障害への認識と判断が比較的正確であり,同時に今までに作られていた人間関係を通じて社会の理解も得られ易い.そのような状態ですら一時期分離収容し,障害の軽減に相当効果を挙げたと考えられても,社会復帰の段階で種々の問題に突き当る場合が少なくない.
これらのことは先天的な障害の場合にはより難しいといえる.なぜならば障害者自身すべて無から出発しなければならないからである.そのために特にHabilitationという表現が用いられているのであろう.
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