Japanese
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特集 重症心身障害者のリハビリテーション
一理学療法士の経験と思考
Experience and Meditation as A Physical Therapist.
佐藤 啓躬
1
Keimi Sato
1
1国立療養所福島病院
1National Sanatorium. Fukushima Hospital.
キーワード:
重症心身障害児
,
リハビリテーション
,
感覚的リハビリテーション
Keyword:
重症心身障害児
,
リハビリテーション
,
感覚的リハビリテーション
pp.387-392
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103334
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はじめに
重症心身障害児(者)とリハビリテーション,この2つの言葉の関連性に私は底しれぬ不安と希望をもつものの1人である.それはいずれにも他を圧倒する大きな内容と,広い意義を含んでいるからである.
重心病棟に勤務する私にとって,重心の子等にも「リハ」の門が開かれたかと,単純には喜び得ない不安が先立ってしまう.これらを今後いかに具体的に系統的に関連させていくかが課題であっても,その前提となる根本の姿は変っていない.それは全人間的復権を目指すリハ自体が重障児を受け入れるだけの円熟した発達をリハの過渡期とはいえ歩みつつあるであろうか,また重症心身障害児の最大公約数についていうなら何ひとつアクティブな意志,動作を示すことの出来ぬ患児は全人間的失権ともいえるものを背負わされているのであって,常に失権に対する復権の挑戦となるからである.
しかし重障児は動かし得ないが,動かし得る可能性を持つリハをどこまで患児達の心身に,例えわずかであってもわれわれの努力で結び付けることは可能とも思える.例えそれが客観的にはリハとは見えなくとも,われわれ日夜努力している者はそれをリハであると信じられる理念と学問を重症心身障害児のために,これに携わる人々の創意と努力で,何等かの形で生み出したいと願うものである.
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