人籟 国家衛生原理抄出・2
衛生ノ一理ニ帰納セサルハ無シ
後藤 新平
pp.469
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202871
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幸ナル哉文明ノ風潮ハ人世ノ汚濁ヲ洗浄シ先入ノ迷霧ヲ払ヒ去テ漸ク人事ノ向フベキ針路ヲ覚ラシメ世事ノ本末ヲ明ニシ従来人事ノ末ニ置キシ衛生ハ却テ其本タリシコトヲ知リ之ヲ措テ道徳言辞,史伝,経済等ノ諸科ニ通スルモ復何ノ要ナキヲ覚リ且今日マテ衛生ノ声価ハ其真価ニ比スレハ遙ニ低位ニ潜ミタリシコトヲ嘆セサルハナク前ニ認メテ衛生ト信シタル区域ハ所謂全豹ノ一斑ニシテ今ヤ井蛙管見ノ譏ヲ免レサルコトヲ覚リ且其範囲ノ広大ナルコトニ驚カサルハナシ是ニ於テ乎上下一是ニ衛生ヲ講セントスル勢ニ至レリ是固ヨリ学者事ヲ好ムノ情ニ発シタル一時ノ流行ニ非ス又唯々政府カ過慮ノ誘導ニ出テタル結果ニ非ス臣民深ク各自ノ身心ニ反省シテ自治自衛上其必要ヲ感スルノ所致ナリ
動モスレハ衛生ハ身体内ノ事ニ関シ其事小ナリ政治,経済,文学ハ身体外ノ事ニ関シ其事大ナリト為スモノアリ
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