Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
わが国の視覚障害者のリハビリテーションはこの分野の先進国に比べ数十年間の遅れがあるといえよう.わが国においても失明者が社会から軽視され,排斥された時代は過ぎつつあるが,なお特に職業的には一般社会に受け入れられていない.即ち就業している失明者の職種を見ても,あんま,はり,きゅう業や農商業などの自家営業か,家族内雇用がほとんどで一般企業や官公庁への就職は例外的なものに過ぎない.しかし今や失明者も健常者と平等に社会や職場へと更生して行く時代がきていることは先進国の例をあげるまでもなく明らかである.即ち一般企業などへの就業―開放雇用―が行われ,ここで他の人々と共に肩を組み手をとりあって働いて行く時代が到来しつつある.これを実現するためには障害により失われた権利の回復のためにリハビリテーション事業をはじめ種々の福祉施策がなされる必要がある.
リハビリテーション事業の目的はあらゆる面から障害を可能な限り回復させ,障害者に生産や生活の上で他の人々と全く平等の機会を与えることである.その遂行のためには行政や社会の問題を別にしても種々の施設や多くの専門職員を必要とする.更にこれらの体系化即ちリハビリテーションの理念にもとづいて障害の発生から就業までの一貫したサービスが行われるために,なお大きな努力が払われなければならない.体系とは1つの目的に向って各々のリハ過程又は施設が機能を分担しあうことで,必要とするサービスや施設の間に断層や重複があってはならない.即ち障害者を能率的に最も適切なゴールへ到達させるために有効な援助が行われ,各施設の間の障害者の移行が円滑に行われなければならない.
以下ここでは視覚障害者の「リハの概要と目標」について国際的な現状と照して一般的な原則について述べる.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.