ひと
広い視野でリハビリテーションと取り組む建築家 東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部障害研究室 陳 慧玉(ちん・けいぎょく)氏
上田 敏
1
1東大病院
pp.686
発行日 1974年9月10日
Published Date 1974/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103204
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羽田空港のロビーなどで,旅行中の中国人一家の姿をみることがある.そのとき,日本人の家族とちがって,まことに印象的なのは,おばあさんの堂々たる姿勢である.小柄でやせて,黒い中国服をきて,てん足の足に小さな中国靴をはいて,まるでやせたカラスのようなのに,態度は堂々として,胸をしゃんと張り,孫たちを指揮し,まさに大家長の貫禄十分なのである.
陳さんをおばあさんにたとえたら申訳けないし,事実彼女はやせたカラスどころか文字通り堂々として貫禄十分なのだが,そのしゃんとした姿勢と,問題を大きくとらえる広い視野,そして小手先の細工を排してあくまで正攻法で押していく仕事の態度に接するたびに,あのおばあさんにも象徴されるような中国民族の生命力,中国の悠久な風土といったものを二重写しに思い浮べてしまうことも事実なのである.
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