巻頭言
創刊に際して
土屋 弘吉
1
1横市大・整形外科
pp.3
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102847
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わが国においてリハビリテーション医学が脚光を浴びてからすでに十数年を経過したが,その間の進歩の跡を顧みるとまさに瞠目に値するものがある.すなわちリハビリテーション医学会が発足し,PT,OT制度が確立され,それらの養成校が設けられ,全国に多数の専門病院が設立されるとともに,総合病院でもリハビリテーション部門を併設することが一般的傾向となってきた.
しかしながら,わが国のリハビリテーションおよびその周辺の状況は必ずしも楽観を許さないものがある.各大学のリハビリテーション教育は年々充実してきたとはいえ,講座が設けられた大学はいまだ一校もない.PT,OT養成校は全国に数校あるにすぎず,卒業生は到底需要の急増に追いつけない.リハビリテーション医療の保険点数はきわめて低く,病院経営の上からは大きなマイナスとなっている.医学的リハビリテーションにおいて一定のゴールに達しても,障害者に対する社会の受入れ態勢はまことに不充分である.
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