Japanese Journal of Diabetes Master Clinician
創刊のことば
石井 均
1
,
内潟 安子
1
,
𠮷岡 成人
1
1本誌編集委員会
pp.2
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100339
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近年,糖尿病患者数とそれにもとづく重篤な合併症の顕著な増加は,国民の健康状態に大きな影響を及ぼしています.このような状況に対応して,近年の糖尿病領域における医学的進歩には目覚しいものがあります.いくつかの記念碑的な大規模臨床試験は糖尿病を厳格にコントロールすることによって慢性合併症が予防できることを明らかにしましたし,新しい治療法の開発はより生理的な血糖コントロールを可能にしつつあります.さらに,再生医療という大きな期待に満ちた領域が発展しようとしています.
その一方で,糖尿病治療の現実的なそして本質的な問題が顕性化してきました.それは,糖尿病治療には自己管理が大きい位置を占めている,ということです.すなわち,いくら優れた治療法が登場しても患者がそれを実行しなければ,効果は現れないということです.したがって,効果的な自己管理を行うためには,どのような要素が重要で,それに対して医療者がどのように介入すべきかが明らかになる必要があります.これに対しても,最近のいくつかの大きな臨床研究が,患者の心理社会的要素が効果的自己管理に関連すること,行動科学的な手法を取り入れた生活習慣の改善が有効であること,などを明らかにしてきました.今後そのような考え方や手法が日常臨床に取り込まれていく必要があるものと考えられます.
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