- 文献概要
1995年11月,私どもはやっと日本老年看護学会を発足させることができました.思えばずいぶんと遅れたものだと思います.遅れたにはわけがありました.老年者の看護は看護の専門家のみが行うのではありません.また,他の多くの専門職の働きとかかわってある活動なのです.この2点において他の看護の職域より老年者看護は抜きん出ています.また,これこそ看護の特質そのものであります.私どもはこれまで他の老年学者とともに学んできました.看護の諸学会でも,ともに研究活動をすすめてきました.また,老年者のケアに携わるさまざまな人々と一緒に学ぶことをすでに行ってきましたので,今さら老年看護独自の学会が必要かどうか迷いがありました.
しかしながら,老年看護の実践では解決しなければならない課題がたくさんあります.すでに,さまざまに取り組まれてはいますが,どちらかというとケア提供の側からのシステムの改革が行われ,改革しても改革しても,同じような問題が残されていくようにみえます.中間施設を作ったり,介護保険を検討したりしても,ケアを受ける側からケアの意味,ケアの効果を問うケア理論に基づいたアプローチが不足していたと思います.
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