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編集後記
鹿
pp.198
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102729
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あっという間に正月も過ぎて忙しい毎日が戻ってきました.せわしない時間のなかで,いろいろなことが起こっては次々に忘れられていきますが,例えばこの国が米国他と戦争をし,終わったのはたかだか半世紀とちょっと前のこと.大戦後つくられてきた(医学・医療も含め)あらゆるものの枠組みに歪みが生じ,問い直され始めたのはほんのこの前,21世紀への変わり目の頃,そして今も続いている.流れ行く時間のなかで不変のものは何一つない.だからこそ少しせわしなくとも何がどう変化しているか,いつも気にかけている必要があるのだろう.『<民主>と<愛国>』(小熊英二という社会学者の著,新曜社刊)は,「ある社会の,特定の時代に支配的だった言葉の体系ないし構造」が,その時代に「どのような構造的配置をとっていたか,そしてその構造がどのように変動したかを明らかにすること」を目的に,戦後日本の思想的な言葉,と言っても「市民」とか「国民」など耳慣れた言葉について,その意味,使われ方の変容をそれこそ克明に追ったもので,質量共に読み応え十分.
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