特集 中小病院の明日を拓く
公的中小病院の存在意義
横内 正典
1
,
谷川 高
2
Masanori YOKOUCHI
1
,
Takashi TANIGAWA
2
1田子町国民健康保険町立田子病院
2国保備前市立備前病院
pp.309-314
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900894
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創意と工夫が生かされる病院
はじめに
科学技術の目ざましい発達に伴い,医学の進歩も日進月歩でとどまる所を知らぬかのようである.それにつれ,医学の専門分化が進み,生体肝移植や,脳死の問題をクリアできぬままの心臓移植を初め,医療問題がマスコミに取り上げられることが多く,患者も高機能重装備の病院へと向かうのも人間の気持ちとしてよく理解できることである.また,生活レベルの向上により,人々の関心も,物から心へ,そして健康へと大きな変化が起こっている現状である.それが病院の診療の質ばかりでなく,入院の生活空間の快適性にまで及んでいる.更にまた,急速に高齢化社会を迎え,老後の生活に対する不安も強く,人々の医療に対する要求はますます多岐に渡ってきている.
このような情勢のもと,公的中小医療機関の存在意義について考えることは,時宜を得たものと思われる.そこで先ず,当院の現状を報告し,本題についての私見を述べたい.
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