スコープ
英国小児後天性脳損傷プログラム
栗原 まな
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター小児科
pp.1225-1226
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102314
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筆者は以前,本誌本欄で米国とカナダの小児脳外傷プログラムを紹介し,北米ではかなり充実したリハビリテーションが行われていることを伝えた1-3).今回,英国の小児後天性脳損傷リハビリテーション実情の一端をみる機会を得たので報告したい.筆者は1999年に英国の脳外傷自主組織であるHeadwayを訪問したことがあるが,Headwayは成人を対象としており,小児の脳外傷後のフォローは急性期の病院と教育機関が担っているとのことであった4).
今回訪問したThe Children's Trust Tadworthの前身であるThe Tadworth Court Children's Hospitalを,当時英国に住んでいた筆者は1987年に訪問したことがあった.The Tadworth Court Children's HospitalはNational Health Service管轄の病院の1つであり,ロンドン小児病院で急性期治療を受けた小児がその後のリハビリテーションを行うため,あるいは重度重複障害をもって自宅に帰れない小児を長期に収容してケアするための役割をもっていた.しかし経済難のため,The Tadworth Court Children's Hospitalは1980年代に入ってから存続の危機に至り,閉院が予定されていた.そこに働くスタッフ,患者家族などが存続の必要性を社会に訴え,独立したチャリティ組織(英国では財政を寄付によって賄うことが多い)として再興されたのがThe Children's Trust Tadworthである.
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