Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ガンジーの『自伝』―対人恐怖症の受容
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1222
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102312
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インド独立の父と呼ばれるマハトマ・ガンジー(1869~1948)の『自伝』(蠟山芳郎訳,中央公論社)第二部「引込み思案,わたしの心の楯」という章には,18歳で英国に渡ったガンジーの対人恐怖症を思わせるエピソードが記されている.
英国滞在中のガンジーは,「わたしは,イギリス滞在中,ずっとはにかみやであった」と語るように,「ひとを訪問した場合でも,訪問先に,6人かもっとそれ以上の人が居合わせると,黙り込んでしまった」というほど内気な男だった.そんな彼が3年間の英国滞在を終えて帰国する前夜のことである.友人たちをレストランに招待したガンジーは,宴会の余興として演説をしようと考えた.彼は事前に注意深く幾つかの短い文章からなる演説文を用意したが,いざ話そうとすると「最初の文章のところで,先へ進めなくなった」.
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