扉
ガンジーは生きている
pp.4
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910821
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「インドに来て,ガンヂーのお墓に詣でないのは不見識だ」という,エジプトとタイの人のいうのをきき,不見識かどうかは疑問だけれど,話の種子にはなろうし,別にさからう必要もないので誘わるるままに同行することとして夕方から出かけました。もとのインドの首府デリー,今日では新たにニユーデリーが出来たので,これに対してオールドデリーとよばれている旧首都のはずれの静かな場所にガンヂーは眠つているのです。お墓の入口に立つて見渡すと,広々とした静かな公園といつた感じで,時刻もおそかつたせいかたそがれはじめたこのあたりには,入口でお詣りようの花をうる人の群が5〜6人むらがつているだけで,人影もまばらでありました。入口からずつと敷きつめられている石だたみの上を,歩いていく程にあたりをみまわすと,その石だたみは入口から真直ぐに100米位もつづいているでしようか,それが約2間の巾で二本ひつついていて,中央には噴水がところどころ出ている池がつくられています。石だたみ路の両側は広い芝生の庭で,低い植込みがあちこちにあるだけの実に質素な墓所であつたことにまず胸をうたれました。
"その頭には冠もなく
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