Japanese
English
特集 運動器の10年―成果と課題
脊椎・脊髄外科の立場から
Bone and Joint Decade;achievements and tasks for the future on spinal disorders.
前田 健
1
Takeshi Maeda
1
1総合せき損センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Spinal Injuries Center
キーワード:
運動器の10年
,
脊椎脊髄疾患
,
脊髄損傷
Keyword:
運動器の10年
,
脊椎脊髄疾患
,
脊髄損傷
pp.1039-1044
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102263
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はじめに
運動器の10年世界運動は,1998年にスウェーデン・ルンド大学整形外科学のリドグレン教授が提唱し,2001年に世界保健機関(WHO)が正式に運動の発足を宣言したことに始まる.原語は「Bone and Joint Decade」であり,直訳すれば「骨と関節の10年」であるが,日本委員会では「運動器の10年」と呼称することにした.これは,単に骨と関節の問題に限らず,脊髄,神経も含めた総体としての「運動器」の問題としてこの運動を推進したいという意図がある.厳密に言えば,脊髄のみならず脳の障害も立派な運動器障害であろうが,そこは整形外科医が中心となって発足した運動であることもあり,脳障害は基本的に含まれていない.
日本における「運動器の10年」の活動は多岐にわたる.2002年に「運動器フォーラム2002・東京」が開催されたのを皮切りに,各地で運動器フォーラムや市民公開講座が開催された.2005に出された日本学術会議第7部報告書では,脊椎・脊髄に関するものとして5つの提言がなされた(表1)1).さらに骨粗鬆症に関する諸問題のなかで,脊柱脆弱性骨折の実態把握,病態解明,治療の提言のほか,脊柱変形の再建治療も重要課題として挙げられた.
筆者も含め,多くの脊椎外科医は「運動器の10年」を特に意識して診療に取り組んできたわけではないと思うが,足跡を振り返り課題を明らかにするよい機会であろう.脊椎・脊髄外科領域におけるこの10年の進歩と問題点,今後の課題について,私見も踏まえ,触れてみたい.
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