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はじめに
脊髄損傷は患者のQOLに重大な影響を与える外傷性疾患である.正確な機能予後の予測は,リハビリテーション目標の設定や退院後の環境整備に重要な役割を果たす.さらに,臨床試験における患者層別化にも有用である.
従来の予後予測は,線形回帰や重回帰分析などの伝統的な統計手法を用いて,患者特性を予測因子として活用してきた6,7).しかし,これらの手法では複雑な非線形関係の検出や変数間の相互作用の把握が困難であった.
近年,機械学習の発展により,大規模なデータから複雑なパターンを見出し,予測を行うことが可能となった.医療分野においても,機械学習は従来の統計手法を上回る性能を示すケースが報告されている.特に,深層学習を用いた画像解析は,放射線画像から特徴を自動抽出し,予後予測に活用することを可能にした.さらに,深層学習の一種である敵対的生成ネットワーク(generative adversarial network:GAN)は,画像生成能力を活かして,診断支援や画像強調といった新たな応用分野を広げている.
しかし,機械学習モデルの臨床応用には課題も存在する.モデルの解釈可能性が低いことや,医療従事者がモデルに容易にアクセスできないことが,実臨床での活用を妨げている.より実用的なモデルの開発には,予測精度の向上だけでなく,解釈可能性の確保やアクセシビリティの向上が求められる.
本稿では,機械学習を用いた脊髄損傷患者の機能的予後予測と診断支援に関する3つの研究を紹介する.1つ目は「深層学習GANを用いたMRI画像生成による脊髄靭帯損傷診断支援」8),2つ目は「radiomicsアプローチによるMRI画像解析からの短期神経学的予後予測」5),そして3つ目は大規模データベースを活用した機械学習モデルによる入院リハビリテーション後の機能的予後予測4)である.これらの研究は,機械学習の臨床応用において異なるアプローチを示すとともに,その可能性と課題を明らかにするものである.

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