巻頭言
医療連携でみえたリハビリテーション医の役割を果たすために
佐山 一郎
1
1秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
pp.211
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101993
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厚生労働省(厚労省)の必要医師数実態調査の概要が2010年9月に発表された.全国で約1万8,000人の医師不足と,その地域偏在や診療科偏在が話題となった.この調査で目を引いたのは不足する診療科の筆頭に救急科とともにリハビリテーション科が挙がったことである.現在,リハビリテーションに対する認識が高まり,従来の脳卒中診療科や整形外科に加え,そのほかの臨床科からも術後廃用症候群,緩和ケア,認知症治療の一環などとしてリハビリテーションオーダーがなされ始めている.また,病院経営の面からもそのニード分析でチーム医療であるリハビリテーションやNST(栄養サポートチーム)のアプローチが強調されている.
最近,病院完結型医療から地域完結型医療への誘導が国を挙げて叫ばれるようになった.かつて地域リハビリテーション協議会など,地域に根ざすリハビリテーションの流れを作ろうと努力しても叶わなかった連携医療の構築が,各地で二次医療圏単位で進んでいる.地域連携医療は日常生活が困難となる疾病や障害の発生とその急性期治療から始まる.それに続いて地域に戻れるように治療や環境調整を行う回復期医療がもっとも大きな役割を果たし連携の要を果たすこととなる.これは在宅や施設入所継続困難を生ずる事態でも同様である.こういった場合に医療側で相談役となるのはリハビリテーション科であり,そのチームリーダーであるリハビリテーション科医がもっとも重要な役割を果たす.
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