Japanese
English
特集 リハビリテーションとマネジメント
リスクマネジメントと安全学
Risk management and safety science.
宮越 浩一
1
,
村永 信吾
1
,
夏目 隆史
2
,
高橋 静子
2
Koichi Miyakoshi
1
,
Shingo Muranaga
1
,
Takashi Natsume
2
,
Shizuko Takahashi
2
1亀田総合病院リハビリテーション科
2亀田総合病院医療安全管理室
1Department of Rehabilitation Medicine, Kameda Medical Center
2Department of Medical Safety, Kameda Medical Center
キーワード:
医療安全
,
リスク
Keyword:
医療安全
,
リスク
pp.917-921
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101866
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はじめに
米国での調査1)によると,入院患者の2.9~3.7%が何らかの有害事象に遭遇し,そのうち8.8~13.6%が死亡したとされている.この調査結果を米国の全入院患者数に当てはめると毎年4.4万~9.8万人が医療過誤で死亡していることになる.これは自動車事故での死亡者数を上回り,その経済的損失は170~290億ドルになるともされている.そして,有害事象の半分以上に人為的エラーが関与しており,予防しうるものであったとされている.本邦での大規模調査は実施されておらず発生数は不明であるが,医療事故による被害者は1万人程度という推測がある2).これが事実であれば,毎日30名程度の患者が何らかの有害事象の被害者となっている計算となり,到底見過ごすことはできない.
リハビリテーション医療においては,救急外来や手術室などと比較するとリスクは大きいとは言えない.しかし,以前と比較すると急性期リハビリテーションが一般的となっていること,高齢患者が多くなっていることなどを考慮すると,今後はリハビリテーションの現場においてもさまざまなリスクが発生してくると予想される.そして近年の医療情勢においては医療訴訟も多くみられ,直接担当したコメディカルが被告となり,有責とされた判例もある.このため,診療の責任者である医師は当然として,療法士などのコメディカルも緊張感をもって診療行為に当たる必要がある.これらの背景をもとに,本稿ではリハビリテーションに関連するリスク管理の現状と今後の課題について述べる.
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