巻頭言
脳卒中データバンクと脳卒中リハビリテーションデータベースの連携の重要性
小林 祥泰
1,2
1日本脳卒中協会脳卒中データバンク部門
2島根大学医学部附属病院
pp.715
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101824
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脳梗塞にもt-PA(組織プラスミノゲンアクチベーター)が認可され,超急性期医療が重要となったが,医療体制を見直して初期治療効果を上げるためには将来的に脳卒中対策基本法に基づいた脳卒中拠点病院が必要である.そのためにはデータベースによるエビデンスの蓄積が必須である.われわれは厚生労働科学研究(以下,厚労科研)で作成した急性期脳卒中データベースを用いて2002年に脳卒中データバンクを立ち上げ,現在,参加180施設で6万例以上の登録を行っている.脳卒中のようなcommon diseaseで,全国に普及している疾患データベースは欧米でも少ない.
現在進行中の厚労科研費による班研究では,データベースのなかに,医療計画策定にも役立つ救急隊との病院前診断の情報交換,回復期リハビリテーション,さらに地域連携パスなどとの連携機能を追加し,より実践的なものにするとともに,DPC情報を加えた解析も行い,適正な診療報酬改定にも活用できるように計画している.病院前診断などの充実に役立つPre-hospital Scaleデータベースはすでに完成しており,出雲と倉敷消防署で運用実験を行ったところ,救急隊へのフィードバックにより救命士の脳梗塞診断率の向上,発症2時間以内搬送例の増加が確認されている.
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