Japanese
English
研究と報告
介護老人保健施設における転倒予防―多職種協働のリスクマネジメントによる二次予防の有効性
Multidisciplinary collaborative risk management for secondary prevention of fall and injury in a geriatric health services facility.
笠井 明美
1,2
,
今村 徹
3
,
大西 秀明
1
,
小林 量作
1
Akemi Kasai
1,2
,
Toru Imamura
3
,
Hideaki Onishi
1
,
Ryosaku Kobayashi
1
1新潟医療福祉大学大学院保健学専攻理学療法学分野
2介護老人保健施設尾山愛広苑
3新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野
1Division of Physical Therapy, Graduate School of Health and Welfare, Niigata University of Health and Welfare
2Oyama Aikoen Geriatric Health Services Facility
3Division of Speech, Hearing and Cognitive Sciences, Graduate School of Health and Welfare, Niigata University of Health and Welfare
キーワード:
転倒予防
,
介護老人保健施設
,
多職種協働
,
リスクマネジメント
,
システムマネジメント
Keyword:
転倒予防
,
介護老人保健施設
,
多職種協働
,
リスクマネジメント
,
システムマネジメント
pp.171-178
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101707
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要旨:〔目的〕介護老人保健施設で行われた転倒予防の取り組みを後方視的に検討し,多職種協働による転倒予防の有効な方略と具体的方法を提案する.〔対象・方法〕primary outcomeは各年の利用者の転倒による骨折の件数と発生率(利用者人年%),secondary outcomeは看護・介護職による3種類(アクシデント,インシデント,ヒヤリハット)の転倒報告書の件数と報告率(/職員人年)とした.さらに,リスクマネジメント委員会の議事録と活動記録をもとに分析を行った.〔結果〕転倒による骨折件数は4年目には0件となった.報告書の件数と報告率は,3年間,アクシデントは横ばいであったが,インシデントとヒヤリハットは増加した.そして4年目には,ヒヤリハットのみ前年並みで,アクシデントとインシデントは減少した.リスクマネジメント委員会は,転倒報告書の提出の徹底,システムの構築と改善,教育システムという順序で時期ごとの課題,目標に向かってシステムマネジメントを行った.〔結語〕リスクマネジメントにおける利用者個々を対象とする個別マネジメントと,施設全体のシステムを対象とするシステムマネジメントの相乗効果により,転倒による骨折件数を0件にすることができた.それには,各職員の自主的な取り組みの尊重とシステムマネジメントを担当する組織のリーダーシップの両方が必要であることが示唆された.
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