Japanese
English
特集 新脳卒中治療ガイドラインを巡って
運動障害・ADLのリハビリテーション
Stroke rehabilitation:impairment and ADL.
藤原 俊之
1
Toshiyuki Fujiwara
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
片麻痺
,
上肢機能障害
,
歩行障害
Keyword:
片麻痺
,
上肢機能障害
,
歩行障害
pp.1121-1124
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101657
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はじめに
運動障害・ADL(activities of daily living)のリハビリテーションに関しては,治療医学としてのリハビリテーション医学の真髄を示す領域であり,この領域でのエビデンスをどれだけ確立していけるかが,われわれリハビリテーション医療に従事する者にとって重要な課題である.さらに,この領域におけるエビデンスの構築は,良質なリハビリテーション医療の普及に直結するものと考えられる.
ただし,注意が必要なのは,エビデンスのランク付けに際して,メタアナリシスや無作為対照試験(randomized controlled trial;RCT)が優先されているために,従来より臨床的に行われている治療に関しては,コントロールの設定が倫理的にも困難であるがゆえに,RCTに基づくエビデンスの構築が困難な面がある.その結果,臨床とはかけ離れた,特殊な治療法のみが「エビデンスが高い」とされる弊害が生じている.
新治療ガイドラインでは,その点にも再度検討を加え,RCTなどは行われていないが,妥当な結果が論文に示された治療についても取り上げるようにしている.それにより,ガイドラインが特殊な環境で行える治療法の集まりではなく,広く一般の臨床場面で使用可能なガイドラインとなり得るものと考える.
本稿では,運動障害・ADLのリハビリテーションを中心に,関連する歩行障害,上肢機能障害における訓練量や各治療法を概説するとともに,今後の展望について私見を交えて述べる.
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