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特集 国際交流・協力
障害者の自立と社会参加を支援する国際協力―アジア各国の状況を中心として
An international cooperation project to promote the independence and social participation of persons with disabilities: focusing on the situation of Asian countries.
指田 忠司
1
Chuji Sashida
1
1独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター
1National Institute of Vocational Rehabilitation
キーワード:
視覚障害
,
国際協力
,
WBU(世界盲人連合)
Keyword:
視覚障害
,
国際協力
,
WBU(世界盲人連合)
pp.619-623
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101546
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はじめに
2006年12月に,国際連合(以下,国連)が障害者権利条約を採択して以来,翌年3月の署名開放,さらに2008年5月の条約発効というように,障害者の人権保障に関する国際的取り組みが進んでいる.今や障害者の人権保障の問題は,国や地域を超えたグローバルな問題として認識されつつある.
このようにグローバルな問題として「障害者の自立」と「社会参加」を考えるとき,単に富や技術をもてる国が,それらをもたない貧しい国を支援する,という一方的な見方に立って考えるだけでは不十分である.人権保障の仕組みは国家単位から,多数国家で構成される共同体単位,さらに,国連機関を中心としたグローバルなものへと進化しつつある.障害者問題についても,人権保障の枠組みと同様の仕組みが適用されるとともに,とりわけ障害者の実生活に最も関わりの深い社会開発の場面では,障害者が生活する地域(コミュニティ)レベルを基礎として,国レベル,他国間地域レベルへとその取り組みが広がりをみせている.特に,地域(コミュニティ)を中心として障害者の自立と社会参加を進めていく取り組みの中核は,WHO(世界保健機関)が提唱しているCBR(community-based rehabilitation,地域に根差したリハビリテーション)としてその手法が確立しつつあり,実践者・研究者のネットワークも結成されるなど,大きな期待が寄せられている.
本稿では,こうした状況を踏まえて,筆者が最近参加した開発途上国における視覚障害者団体の能力開発に関する国際協力プロジェクトの報告・研修会を中心に,この分野における現状の一端を紹介し,将来への課題について検討してみたい.
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