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はじめに
療育の理念は,「早期発見・早期療育による障害の治癒・正常化」というこれまでの捉え方から,「早期発見・早期療育からライフステージに応じた生涯にわたる支援」という考え方に大きく変化している1,2).
「早期発見・早期療育」により,発達障害を「正常化」させるという昭和50年代以降のわが国での取り組みは,その目標を達成できなかった.障害が完全になくなることはなく,障害児は障害をもったまま大人になる.脳性麻痺児は脳性麻痺者に,知的障害児は知的障害者に,自閉症児は自閉症者になる.
障害児の療育は,早期発見からライフステージに応じた生涯にわたる支援である.障害児が,自らの能力を最大限に発揮し,ライフステージをいきいきと生活できるように成長,発達するには,図3)に示すような地域の多くの保健・医療・療育・福祉・教育・行政機関が適切に関わることが必要である.これは,医療機関のみ,また療育機関のみで完結することではない.このなかで障害児に関わる療育機関は,地域という広がりと,生涯という時間軸の広がりのなかでどのような役割や機能を果たすかが問われている.
上記を前提として本稿では,最初に障害の発見に関わる乳幼児健診について触れ,そして療育機関としての障害児通園施設,障害児入所施設の役割と機能について述べる.最後に障害児等療育支援事業と発達障害支援事業について述べることとする.
なお,発達障害という用語はさまざまな使われ方があるが,本稿では脳性麻痺などの肢体不自由や知的障害,自閉症など,発達期に生じたすべての障害を含むこととする.発達障害者支援法に規定されている自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害,注意欠陥多動性(AD/HD)障害,学習障害に限定したときは「発達障害」とした.
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