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はじめに
リハビリテーション医療がわが国に伝えられたのは,1940年前後のことである.ドイツにおける肢体不自由児に対する医学的治療の紹介を契機としており,1942年には東京都に整肢療護園が設立された.戦後は米国の占領下において医療が進められたために,わが国のリハビリテーション医療も米国の影響を受けることとなった.米国では1947年に国家資格としてのリハビリテーション専門医制度が制定されたが,日本に科学的なリハビリテーション医学が導入されたのは,さらに後のことである.当時は,リハビリテーション医療の専門職は存在しなかったため,リハビリテーション医療は主として整形外科医や物療内科医,鍼灸マッサージ師などによって行われていた.
医師が米国に留学してリハビリテーション医学を学ぶようになったのは1960年前後のことで,この後に新しい医学として位置づけられるようになり,1963年9月に64名の医師によって「日本リハビリテーション医学会」が結成された.同じ年に,わが国で最初の理学療法士・作業療法士の養成校が東京都に開校した.1966年3月に卒業生に対する第1回の国家試験が行われ,この年に「日本理学療法士協会」,「日本作業療法士協会」が結成された.療法士の活躍する場は徐々に拡大し,その数も漸増している.一方,リハビリテーション科医の数は微増するのみで,日本リハビリテーション医学会による学会独自のリハビリテーション専門医制度の発足は実に1980年6月のことであった.翌年から試験が行われたが,米国に34年遅れてのスタートである.また,標榜診療科としての「リハビリテーション科」の使用が長年認められず,結局のところ承認されたのは1996年8月のことであった1).
このように,リハビリテーション医学・医療の社会的進展が緩徐であったというわが国の歴史的事実を確認したうえで,本稿では日本リハビリテーション医学会教育委員会(以下,教育委員会)担当理事という立場から,医学生ならびに研修医,一般医家,リハビリテーション科医の教育の実態に関して,その歴史と課題,展望について簡略に提言したい.
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