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はじめに
以前は,入院患者に褥瘡を発生させると病院のケアの質が問われたり,また高齢者の寝たきり患者に一旦褥瘡を発生させると難儀なこととして考えられていたが,最近になり褥瘡は,その予防と治療がとみに注目され展開されてきている.また,厚生省(当時)が褥瘡についてのガイドラインを発表し,褥瘡学会が発足したりして,最近10年では,病態像と治療についての研究論文は多くなり,また予防についての臨床が厳格に行われている病院数が増加し,チームワーク医療の最前線となってきている.
1997年から2007年の10年間に,医療経費,評価法,予防(マット,栄養,皮膚ケアなど),病態(発生機序),治療(外用薬,ドレッシング,物理療法)などについて多くの研究論文がみられ,そのなかにはエビデンスに基づく科学的な手法を用いたものも存在する.しかし多くは,症例数が少ない,褥瘡の重症度の分類の差異,褥瘡のサイズが一定していない,施設や病院,自宅の違いを考慮していない,治療者・評価者が異なるなど,論文の質を考えると多くの問題点がある.
褥瘡の臨床の場面では多くのパラメーターが存在し,また倫理上の問題点もあり,容易にエビデンスを記載することは難しいと言えるが,それでも最近では褥瘡に関する多くの詳細な調査がみうけられるようになった.
本稿では,エビデンスの収集には1997年から2007年3月までのMedline(キーワード:pressure ulcer and therapy),Cochrane Database of Systematic Reviews(キーワード:pressure ulcer and therapy),医学中央雑誌Webなどで検索した.また,「日本褥瘡学会(編):科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン(2005)」を参考とした.エビデンスのレベルおよび推奨グレードは,脳卒中合同ガイドライン委員会(2004)の提案を採用した.
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