Japanese
English
研究と報告
総腓骨神経およびその分枝の走行と同神経に分布する血液供給路について
Some observations on running course of common peroneal nerve and its branches and blood supply to them.
藍原 由紀
1
,
間藤 方雄
2
Yuki Aihara
1
,
Masao Mato
2
1東京医科大学病院リハビリテーション科
2自治医科大学(解剖学)
1Department of Rehabilitation Medicine, Tokyo Medical University Hospital
2Department of Anatomy, Jichi Medical School
キーワード:
総腓骨神経
,
下腿伸筋
,
血管
,
加齢
Keyword:
総腓骨神経
,
下腿伸筋
,
血管
,
加齢
pp.1155-1160
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100943
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はじめに
坐骨神経は一般に膝窩の上角で2枝,すなわち総腓骨神経と脛骨神経に分かれ,総腓骨神経は下腿外側に向かって走行し,腓骨頭をまわって主に下腿前面の筋に分布する.総腓骨神経は腓骨頭付近を走行する際,臨床的にギプス,装具などの装着によって神経が圧迫されることがあり,その走行は形態学的に重要であるにもかかわらず,解剖学成書における記載は必ずしも一致していない1-6).
また,臨床的にみられる閉塞性動脈硬化症あるいは腰痛症による間欠性跛行,糖尿病患者にみられる下肢筋力の低下は,神経および筋の虚血状態が主な原因と考えられている.これらの症状を改善するために,体幹および下肢筋力の強化,歩行などの運動療法,および温熱,低周波などの物理療法が日常的に行われている.これらの治療によって上記症状が改善される機序は,各種刺激による局所の血行改善によって,筋および神経の活動性を高めることにあると考えられる.しかし現在,筋運動とその支配神経の血行改善の機序は明らかでない.
そこで,いわゆる伴行血管を欠く神経の代表として,また臨床的にも問題の多いヒトの坐骨神経および総腓骨神経を取り上げ,それらの神経における血管分布の形態学的研究を行うとともに,支配筋との関係を考察することにした.
さらに本研究では,1)総腓骨神経の走行,2)総腓骨神経,その枝である深・浅腓骨神経に分布する血管,3)高齢者の同神経束の神経周膜(peri-neurium),および神経内膜(endoneurium)に含まれる血管と結合織の関係に注目した.
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