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はじめに
障害受容とは,「障害のために変化した諸条件を心から受け入れること」である1).回復期リハビリテーション病棟を担当するスタッフは,リハビリテーション総合実施計画書の障害受容項目を記載し,本人および家族にも説明をする.そして,障害受容を入院中に進めようと急ぐ.しかし,そう簡単にはいかない.そこで,障害受容(自己受容)1)ができない患者を問題患者として扱う.障害不受容を,リハビリテーションゴール(大きくはquality of life;QOLの向上)達成の阻害要因として,また,やっかいな心理上の問題として捉える.しかし,リハビリテーションスタッフは,退院後,外来で会うことがなければ,退院者の障害受容にはほとんど関心を払わなくなる.すなわち,短期入院で多忙のため,障害受容は入院中だけの関心になってしまっている.だが,早期リハビリテーションから回復期リハビリテーション,維持期リハビリテーション,終末期リハビリテーションと連続してリハビリテーション援助が切れ目なく行われるシステムがようやくできつつある昨今2),障害受容の苦しみおよび緩和法について関心をもち,対策を検討しておかなければ,在宅での関りのなかで,障害受容で苦しむ人への理解と家族を含めたサポートは困難な状況におちいるのではないかと考える.また,運動機能とactivities of daily living;ADLを援助するための役割しかもてないリハビリテーションスタッフが育ってしまう恐れもある.
本稿では,障害受容における当事者と他者との相互作用の影響について検討する.なかでも障害者が人に支えられていると実感すること(情緒的支援)が障害受容にどのような影響を与えているかについて,脳血管障害者の前向きコホート研究をもとに述べ,障害受容と他者の関りについて考察する.
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