Japanese
English
特集 障害受容における相互作用
家族関係と障害受容
Acceptance of disability and caring family.
渡辺 俊之
1
Toshiyuki Watanabe
1
1東海大学医学部専門診療学系精神科学
1Department of Psychiatry and Behavioral Science, School of Medicine, Tokai University
キーワード:
家族の歴史
,
家族の構造
,
家族の機能
Keyword:
家族の歴史
,
家族の構造
,
家族の機能
pp.821-826
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100882
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はじめに
リハビリテーション当事者の生活は,身体的・心理的・経済的次元において家族に支えられて営まれていく.当事者は障害受容していく過程で,さまざまな心理的葛藤とそれに付随する感情に向き合わねばならない.当事者は,運動能力の限界を知り,社会的役割や家族内の役割を喪失し,将来計画の変更を強いられ,悲しみや怒りなどのマイナス感情に直面する.
当事者の心を抱える大きな容器が家族である.当事者は家族という容器の中でマイナス感情を処理し,障害受容を推し進めていくのである.家族は,当事者が体験する感情の受け皿にならねばならない.ところが,身体障害の出現は家族に葛藤を生じさせる.一家の主である夫が災害で脊髄損傷となり仕事ができなくなる.家事を一切背負っていた妻が脳卒中で倒れる.家族も障害に直面し,揺れ動き,障害受容を迫られるのである.
障害受容は当事者だけのものではない.障害受容は家族においても重要な課題である.当事者の受容と家族の受容は平行して進行していくわけではない.家族が先に障害受容し,当事者が家族により現実検討させられながら障害受容していくこともあろう.また,家族よりも当事者のほうが障害を先に受容する場合もある.当事者の障害受容と家族の障害受容は,互いに相互作用しながら進行していく関係である.
本稿では,障害受容を家族関係という視点からもう一度考えてみたい.
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