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はじめに
本邦の高齢化は世界でも例をみない速さで進んでいる.1970年には65歳以上の高齢者人口は739万人,総人口に占める割合(高齢化率)は7.1%であったものが,2001年には2,287万人,高齢化率は18.0%となっている1,2).戦後のベビーブームのなかで生まれた人たちが70~80歳になる2020年には,65歳以上人口は3,334万人,高齢化率は26.9%になると予想されている2).したがって,「高齢者の世紀」である21世紀においては,静なる状態での寿命を延ばすだけでなく,高齢者が健康で心身ともに自立した日常生活をいかに過ごすかに社会的な関心が集まってきている.また,高齢社会に突入した日本では,高齢者の生活の質(QOL)を高めることが課題となっており,「健康日本21」においても健康寿命の延伸およびQOLの向上を実現することがその目的とされている.
それでは,これらを実現するためにはどうしたらよいのであろうか.高齢者の体力水準の把握を通して,自立した日常生活を支援していくこと,運動習慣を定着させて,身体活動を支える予備能としての体力を維持・増進することなどがその方策の一つになると思われる.しかし,高齢者が無理に運動を行うのは危険であり,過度な運動や行い方を誤ると,加齢に伴って弱り始めた筋肉や骨などを痛めることにつながりかねない.高齢社会を迎え,活動的な高齢者が増加することは大変望ましいことである.そのために,個々の高齢者にとって重要となってくることは,① 自分の体力水準の把握,② 自分に合う運動,③ 運動を行う際の注意点などについて,主治医,理学療法士や作業療法士,運動指導者などから適切なアドバイスを受けながら,自分の身体を自己管理する能力を養うことであると思われる.
本稿ではまず最初に,高齢者の体力と円滑な日常生活の関係について述べ,高齢者の体力テストバッテリ,高齢者の運動について言及する.
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