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病理学的手技や分子生物学の発展に伴い,様々な神経変性疾患における疾患独立性や連続性が次々と解明されるようになった。進行性核上性麻痺(PSP)および大脳基底核変性症(CBD)もまた,その特徴とともに,類似性が様々に論じられるようになった。このような中,両疾患の生物学的基盤の独立性を確立しうる病理学的所見の1つとしてtufts-shaped astrocyteとastrocytic plaqueが注目されている。つまり,tufts-shaped astrocyteとastrocytic plaqueは同一症例において共存せず,前者は古典的なPSPに,また,後者は原著のCBDの病理所見と随伴するという多数例における観察によって,両者は,タウオパチーの中における似て非なる異なる2つの病理学的表現型を特徴付けていることを浮き彫りにし,PSP,CBDの病理診断学的根拠としてのコンセンサスが得られている。いずれも,4リピートタウが蓄積する疾患であるという意味からは同じ範疇ではあるが,近年,両者を区別する蓄積したタウの構成についての新見地が得られており,病理学的診断としてのPSPとCBDの独立性を一層明確にしている。しかしながら,臨床徴候をも最終診断の重要な判断要素とする立場からは,この見解に「矛盾」する症例も次々に報告されており,病理学的PSP症例群と,病理学的CBD症例群の臨床徴候の違いについて,特に類似しているように見える臨床像の詳細な評価に関する臨床研究が望まれる。つまり,「病理学的にはCBDだが,臨床的にはPSP」という,異なる「診断根拠」に基づく議論を,真の病態の解明に向けて,いま一歩進める必要があると考える。
Corticobasal degeneration(CBD)and progressive supranuclear palsy(PSP), which are neurodegenerative diseases with tau-positive structures in neurons and glial cells, have similar clinicopathological findings each other. But, there are the pathological findings to distinguish between PSP and CBD;tufts-shaped astrocyte and astrocytic plaque. They do not coexist in PSP and CBD, and the tufts-shaped astrocyte is characteristic of PSP and astrocytic plaque of CBD. However, the cases which contradict this pathological finding are reported one after another, and further examination seems to become necessary.
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