巻頭言
病院を病気にしないための医療とは?―リハビリテーション医療の経営危機
佐鹿 博信
1
1横浜市立脳血管医療センター
pp.207
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100808
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横浜市では,市費の繰入金が多すぎるとして,中田市長が民間有識者による「横浜市立病院のあり方委員会」を平成14年7月から発足させた.再整備中の市立港湾病院については,「経常損益が年額約40億円に達する見込みであり,市立病院として運営する意義はないから,民間へ売却ないし経営委託する」という答申をまとめた(2002年12月12日).精神科二次救急などの不採算医療は,市から委託金をつけてでも民間に丸投げしようとする企てである.このような意図は,市立病院のリハビリテーション部門にも当然及んでくると予想しなければならない.国民医療費の際限ない増大に対応して医療費抑制が最大の施策となったために,「病院(の収支)が病気(赤字)にならないように医療を行う」ことがあたりまえになってしまったのである.
さて,平成14年4月の診療報酬改定により,多くの一般病院のリハビリテーション部門は不採算部門に転落した.筆者の勤務する病院では,リハビリテーション部門の医業収益は約40%も落ち込み,これが病院の医業収益減とほぼ同額になっている.
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