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現在,専門医認定制協議会が中心となって専門医制度の再検討が行われており,専門医制度は変わりつつある.日本リハビリテーション医学会も例外ではなく,新しい専門医(広告可能な専門医)の認定が学会としての急務となっている.今までの認定臨床医はこの専門医と同一ではない.新しい制度での専門医は,医学部卒業後ある程度の期間(5年以上)教育,臨床経験を積んだ医師が試験合格によって認定される.リハビリテーション全般にわたる知識と経験が必要であり,専門医資格取得後はリハビリテーション医療の担い手となる.更新制度もあり,取得後も研修しなければならない.さらにこの上に指導医(仮称,現在の専門医)が存在する.指導医とは,リハビリテーション医学に関する教育,研究,診療を通じて後進の育成にあたる医師で,学会独自に認定するものである.指導医になるためにもリハビリテーション医学全般にわたる知識と経験が必要で,認定のための試験(現在は試問)に合格しなければならない.筆者は6年間,リハビリテーション医学会の専門医や研修施設などの認定業務に携わってきた.そこでリハビリテーションの専門性について私見を述べる.
米国にも専門医制度(Board of Physical Medicine and Rehabilitation)が存在し,リハビリテーション科のレジデントはリハビリテーション医学全般にわたる研修を行った後,試験を受けその資格を取得する.専門医資格取得後,多くのリハビリテーション医はある専門分野のリハビリテーション医となる.例えば,脳卒中,脊髄損傷,脳外傷,小児,切断,整形外科リハビリテーション(人工関節など),スポーツリハビリテーション,筋電図などである.筋電図だけで生計を立てている医師も存在する.このため,私が米国留学中に多くのリハビリテーション医から専門(specialty)は何かと尋ねられたとき,リハビリテーション全般ですと答えると奇妙な顔をしていた.また,レジデント終了後開業する医師(日本における手術をしない整形外科医や老人内科のような開業医)もいた.日本においてはある特殊な病院を除いた大学病院や一般病院では,リハビリテーション全般の患者を診察・評価しリハビリテーション処方をしなければならない.もちろん高次脳機能障害,嚥下障害などの分野で著名なリハビリテーション医は存在するが,脳卒中患者のみしか診察しないリハビリテーション医はごくわずかと思われる.
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