Japanese
English
特集 転倒の予防とリハビリテーション
転倒予防に配慮した高齢者への薬物治療
Treatment of medicine for the aged in consideration of the dangerous side effects like a turnover accident.
宮永 和夫
1
Kazuo Miyanaga
1
1群馬県こころの健康センター
1Gunma Metal Health Center
キーワード:
向精神薬
,
対症療法
,
精神症状
,
行動障害
Keyword:
向精神薬
,
対症療法
,
精神症状
,
行動障害
pp.220-224
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100712
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はじめに
高齢者でかつ身体障害を有する場合,みだりに向精神薬(精神症状に作用する薬物で,抗精神病薬,抗躁薬,抗うつ薬,抗不安薬,睡眠薬などを含む)を使用すべきでないという意見がある.しかし,適切な向精神薬の使用は,精神症状を有する高齢者のリハビリテーションに対して有用なことが多いのも事実である.ここでは,転倒など高齢者にとって危険となる副作用などに配慮しながら,向精神薬の標的症状について解説する.
原 則
精神症状に対する薬物治療は,疾患の種類によって選択するのでなく,状態像もしくは中心症状を標的として選択する対症療法であり,根治療法ではない.さらに,高齢者にみられる精神症状は,発症時期が明確でなかったり,慢性経過をたどって症状が固定してしまうことが多いため,副作用の少ない薬剤を段階的,計画的に処方する必要がある.薬剤の効果判定の目安は4週間内で行い,漫然と投与しないこと,また,改善がみられない場合は,薬剤を変更・中止して,上乗せの多剤併用投与を避けることが必要がある.もっともあまり変更しすぎると,逆に信頼関係が薄れることもあるが…….
また,成人と違って血中の薬物濃度が高くなる傾向があり,過度の反応や副作用がみられることが多い.比較的高頻度にみられる副作用として,抗精神病薬は神経症状(急性ジストニア/パーキンソン症状),抗うつ薬は身体症状(便秘,尿閉,視力障害),抗不安薬は身体症状(脱力,眠気),脳循環改善薬はせん妄等が有名だが,ここではリハビリテーションの実施に障害のある副作用を中心に述べたい.
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