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はじめに
一口に不穏・問題行動と言っても,その原因はさまざまであり,当然のことながら対応についは症例によって個別的に吟味されるべきものである.すなわち,対応について一律に総論的には述べにくい.
リハビリテーション患者の心理的な面の理解,対応法についてはわかりやすい著作がある1).また,リハビリテーションにおける精神科的な薬物療法については,すでに筆者は6年前,本誌に症例をもとに概説した2).その後現在までの6年間の間に,SSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)や非定型抗精神病薬が数種類,相次ぎ日本で使用可能となった.しかし精神科的な薬の使用法については6年前と基本的には変わるものではない.したがって,心理面への対応については別著作1)を,薬物療法については文献2)を併読願いたい.
なお,リハビリテーション科を含めた総合病院一般科における精神医学的なさまざまなスキル(薬物療法を含む)については,やや専門的であるが,参考図書5,6)が実践的であり,エビデンスに基づいており,最もすぐれている(数年前に発刊された訳本であるが,欧米のスタンダードを記載してあり,日本にあっては未だに最新の内容である).
本稿のような総説・概説は,精神科医にとっては,当たり前の事柄が記述されていて,読む気にもなれないものである.その一方で,逆に情報を必要としている医療者にとっては,(あらゆる場合を想定して記述されているあまり)総括的,簡潔で役に立たなかったり,非典型的な報告例を列記したものであったり,あるいは「……(副作用等に)十分注意して投与すべきである」,「……慎重に行うべきである」といったあたりまえの文言が並び,筆者の真の意図が伝わらないものになることが多い.すなわち,誰にも役に立たない総説となる.
したがって,本稿ではあえて極力言い切り調にして断定的に述べ,また羅列を避けた.他の薬物の使用やアプローチを否定するものではない.読者の経験と相違するところがあった場合はお許し願いたい.また,理解しやすいように説明や記述の背景を文章本文中( )内に補足した.
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