Japanese
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特集 精神疾患における環境要因と遺伝-環境相互作用
精神科領域の薬物相互作用
-――統合失調症患者における喫煙の影響を含めた薬物動態学的相互作用
Drug-drug interactions of psychotropic drugs
――Effects of smoking on patients with schizophrenia
前田 仁志
1
,
猿渡 淳二
1
,
古郡 規雄
2
Hitoshi MAEDA
1
,
Junji SARUWATARI
1
,
Norio FURUKORI
2
1熊本大学大学院生命科学研究部薬物治療設計学講座
2獨協医科大学精神神経医学講座
キーワード:
たばこの煙
,
CYP1A2
,
向精神薬
Keyword:
たばこの煙
,
CYP1A2
,
向精神薬
pp.583-589
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807583
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精神疾患患者では,原疾患の難治化や基本的な精神科薬物療法に加え,身体的併存症に対する薬物療法により多剤併用に陥りやすいため,各相互作用の有無に注意する必要がある.また,ほとんどの精神疾患治療薬はシトクロムP450(CYP)の基質であることから,特にCYPの誘導または阻害作用を有する薬物,あるいは化学物質との併用・摂取により変化する薬物の体内動態を理解することは重要である.たばこの煙に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)は,芳香族炭化水素受容体(AhR)との結合を介してCYP1A2を誘導する.CYP1A2は精神科領域において重要なクロザピンやオランザピンなどの薬物代謝を担うことから,特に喫煙者では投与量の調節が求められる.本稿では,精神科領域の薬物動態学的相互作用,特に喫煙が統合失調症患者の薬物動態に与える影響について概説する.
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